長野式鍼灸治療ってどんなもの?吹田で長野式を行う鍼灸師が解説

著者鵜山泰平

最終更新日:2025-06-13

投稿日:2025-06-13

  • 鍼灸
長野式鍼灸治療について、鍼灸師が解説します。

この記事の目次

こんにちは。大阪府吹田市で鍼灸師をしている、うやま鍼灸治療院の院長の鵜山です。

皆さん、体の不調を鍼灸で治したくても、いろんな鍼灸院があるし、ご自身に合った鍼灸治療がどんなものか分からないことはありませんか?
今回は、数ある鍼灸の流派や協会の中でも、うやま鍼灸治療院で行っている長野式鍼灸治療をご紹介させていただきます。
長野式鍼灸治療は西洋医学と東洋医学のいいとこ取りした治療法です。
西洋医学は原因のはっきりした症状(腰痛や肩こりなど)、東洋医学は原因は分からないけど症状があるもの(自律神経症状や倦怠感など)に効果があります。
その両方のいいところを全部同時にまるごと診てしまおうというのが、長野式鍼灸治療です。
鍼独特のズーンと響く感じも少なく、鍼灸初心者の方にも比較的受けていただきやすい内容ですので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

鍼灸治療全般については、鍼灸とはのページで解説しています。
よろしければ、そちらも合わせてご覧ください。

長野式鍼灸治療の始まりと広がり

鍼

鍼灸の流派や協会はたくさんありますが、鍼灸師で長野式を知らない人はいないでしょう。
長野式鍼灸治療は、東洋医学の古典理論と西洋医学の解剖生理学に根拠をおき、長野潔先生が永年の臨床現場で独自に研究や思索を重ね、延べ三十万症例に及ぶ臨床経験から創り上げた「即効性と再現性」のある独創的で実践的な鍼灸治療法です。
もともと長野潔先生は九州で活動されていましたが、長野式臨床研究会が立ち上がり、今では全国に支部ができています。
また海外で活動している鍼灸師にも、その効果と再現性から、長野式を治療の軸に使われている方が多いです。
日本全国、世界にも同じ知識を持つ人がいるので、たとえ引越などで転院する場合でも、患者さんの情報共有がスムーズにできます。

長野式鍼灸治療=全人格的まるごと治療

長野式鍼灸治療の研究母体である長野式臨床研究会は、長野式鍼灸治療を全人格的まるごと治療と定義しています。

私たちには、本来、様々なケガや病気を自分自身の生命力で治してしまう自然治癒力があります。
ちょっとした擦り傷なども自然にきずがふさがり、カサブタとなってそのうち治ってしまいます。
病院で手術した傷も縫い合わせただけで、傷がくっついて治るのは自然治癒力があるからです。
風邪だって体力があれば大抵は温かくして寝ていればそのうち治ります。
ところが、様々な慢性症状に悩まされている方たちはどうなのでしょうか?
長野式では、そのような状態を自然治癒力がうまく働けない状態であると考えます。
それは、自然治癒力の働きを阻害する因子もしくは状態であるということです。

気系

気の不足や停滞
経絡の不調

免疫系

免疫力の低下や過剰
扁桃病巣感染症など

血管系

循環障害・冷え
鬱血(うっけつ)・瘀血(おけつ)など

筋肉系

筋肉の硬化・緊張・緩み
身体の歪みなど

自律神経・内分泌系

不定愁訴
更年期障害など

これらの自然治癒力阻害因子を改善・除去できれば、自然治癒力は自ずと高まり、様々な症状は治癒へと向かいます。

長野式鍼灸治療は独自の診断方法で自然治癒力阻害因子を見出し、
長野式の処置を用いて治る身体に導きます。
したがって、傷病名やその直接の原因・症状だけでなく、症状を引き起こしている全身的背景を捉えて、症状の治る身体にするのです。
これこそ長野式の全人格的まるごと治療なのです。

長野式の特徴的な手法

長野式で特徴的な点はたくさんあるのですが、ここではその中でも特に個性的な内容をお伝えしたいと思います。

①長野式診断

長野式診断では大きく5つの項目(問診、脈診、腹診、火穴診、局所診)で処置を決定していきます。
初診の方は、問診票にたくさんチェックする項目があるので見てほしいです。
たとえ、主訴が痛みであったとしても、多方面から患者さんを診られるように、生活背景や主訴以外の症状などのお話を聴かせてもらっています。
治療の流れとしては、5つの項目のうち脈診~局所診を刺鍼した前後で体の反応を見ていき、患者さんの主訴を改善していきます。
東洋医学系の鍼灸治療を受けられたことがある方はお気づきかもしれませんが、長野式では舌診がありません。一説には、長野潔先生の視力が良くなかったことが言われています。
ただ、それ以上に脈診以降の精度が高く舌診を必要としなかったというお話もあります。

➁瘀血(おけつ)処置

長野式を有名にしたのは、主に「瘀血処置」と呼ぶ自己治癒力を高めるための鍼灸治療です。
これは腹部の特定の箇所に反応点を探し、四肢に鍼を刺すことで瘀血を改善し、身体のバランスを整えるという特徴があります。
瘀血とは、東洋医学における概念で血液の流れが悪く、身体のどこかに停滞している状態を指します。具体的には、血液がドロドロになったり、血管の壁に付着したりすることで血流が阻害される状態を言います。
そうすると、自然治癒力が低下し、症状を慢性化させてしまうと言われています。
それを除去するのが、瘀血処置です。

➂解毒処置

薬物による副作用や慢性的な病気の際に、体の毒素を排出させる目的で用いられる処置です。
皮膚疾患にも効果があり、施灸と合わせて使うことで飛躍的に効果を上げることができます。

④胃経三点処置

胃の気という体の中で循環を促す気を、うまく働けるようにする処置です。
もちろん胃の機能を高めることも可能で、食欲減退や胃もたれなどにも効果があります。
なお、胃の気の力がないと症状の治りが遅いので、胃経三点処置は他の処置よりも優先して行うことが多いです。

➄帯脈処置

これは長野式の中でも特異な処置であり、長野式を有名にした処置の一つでもあります。
長野式の処置は、そのほとんどが複数のツボの組み合わせでできています。
帯脈処置に関してのみ、一つのツボで成立する処置で、その効果の大きさを物語っています。

帯脈とは、体の側面に位置するツボの名前でもあり、帯のように体を一周して、体を通る多くの経脈(ツボを結んだ気の流れる道)を束ねて包括する経脈でもあります。
体幹部で他の経脈を束ねているので、それを刺激すると手足にまで影響を及ぼし、四肢の症状にも効果を出せます。

こんな方にオススメ!長野式鍼灸治療!

長野式鍼灸治療は全人格的まるごと治療であり、すべての方にオススメできる治療法です。
その中でも

  • 体質改善をしたい方
  • 自律神経が乱れている方
  • 症状が長続きしている方(自然治癒力が低下している方)
  • 病院など受診したけれど、原因不明なままの症状がある方

には、特にオススメです。
いずれもすぐ変化がみられる方もいれば、気づいたら症状が無くなっていたという方もいらっしゃいます。そのあたりは個人差、自然治癒力の大小が関わっています。
当院で体質改善を行う方には、食事や睡眠についての改善法などもお伝えしていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
長野式鍼灸治療について大筋ではありますが、解説してみました。
実際には、患者さんの身体の反応を見て、もっとたくさん処置の中から一番適しているものを選んで治療を進めていきます。

長野式鍼灸治療は鍼灸業界でも最大級の治療流派ですが、それを一番の売りにしている鍼灸院はあまり見かけません。
即効性と再現性があり、シンプルで学びやすい。
鍼灸師にとって良いとこずくめに見えるものの、裏を返せば極めることは難しく、途中で挫折する人が多いようです。
かく言う筆者も7年以上勉強会に参加し続けながら、今でも技術と知識を磨いています。

そんな長野式鍼灸治療を吹田市で受けてみたいという方は、ぜひうやま鍼灸治療院にご相談ください。
阪急関大前駅から徒歩2分、土日祝も開院しております。

鍼灸治療全般については、鍼灸とはのページでもご紹介しております。
よろしければ、一度ご覧ください。

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この記事を書いた人

鵜山泰平

大阪府吹田市の、うやま鍼灸治療院院長。鍼灸整骨院・整形外科にて鍼灸師として従事し、2022年うやま鍼灸治療院を開業。東洋医学と西洋医学を合わせた施術で多くの患者様のニーズに応えている。

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