頭痛に対する鍼灸治療〜タイプ別治療法のご紹介〜

著者鵜山泰平

最終更新日:2025-09-16

投稿日:2025-09-16

  • 鍼灸

この記事の目次

こんにちは。大阪府吹田市で鍼灸師をしている、うやま鍼灸治療院の院長の鵜山です。
今回は、多くの方が悩まれている「頭痛」に対して、当院で取り扱う長野式鍼灸治療ではどのようにアプローチするのかを詳しくご紹介します。

慢性的な頭痛は、日常生活に大きな支障をきたします。市販薬では一時的に楽になるものの、再発を繰り返すという方も多いのではないでしょうか。
長野式鍼灸治療では、ただ痛みを抑えるのではなく、「なぜ頭痛が起こるのか?」という根本原因にアプローチすることを大切にしています。
一緒に学んでいきましょう!

鍼灸治療全般については、鍼灸とはのページで解説しています。
よろしければ、そちらも合わせてご覧ください。

頭痛のタイプ別・長野式鍼灸治療の見立てと治療アプローチ

長野式鍼灸治療とは?
長野式治療法は、故・長野潔先生が体系化した、東洋医学の理論に西洋医学的な解剖学や生理学的視点を取り入れた独自の鍼灸治療法です。
特徴としては:

  • 腹診・局所診による全身評価
  • 経絡バランスの調整
  • 原因と結果の関係性に着目した治療

特に「症状=結果」であり、「原因=体内のアンバランスや機能失調」と捉え、原因から治すことを目指します。長野式鍼灸治療について詳しくはこちらをご覧ください。

1. 偏頭痛(片頭痛)

特徴:拍動性の痛み、片側性、光や音に敏感、吐き気を伴うことも
東洋医学的見立て:肝虚・瘀血・腎虚・自律神経失調

主な治療ポイント

  • 太衝(肝経):肝の調整
  • 肝兪・腎兪:五臓の補強
  • 百会:自律神経の安定
  • 内関:交感神経調整

特に月経周期に関係する偏頭痛には、三陰交や関元なども併用し、ホルモンバランスを整えていきます。

2. 緊張型頭痛

特徴:両側性で締めつけられるような痛み、肩こりや眼精疲労を伴う
東洋医学的見立て:肺虚、気滞、筋緊張、ストレス性

主な治療ポイント

  • 合谷:頭部の気血の巡り改善
  • 肩井・風池:筋緊張緩和
  • 膈兪:自律神経の安定
  • 足三里:全体の気血の調整

多くの場合、肩首まわりの筋緊張やストレスが原因とされるため、気の流れを整えることで痛みの再発も防げます。

3. 群発頭痛

特徴:目の奥をえぐられるような激痛、決まった時間帯に出現することが多い
東洋医学的見立て:瘀血、胆経の異常、自律神経の乱れ

主な治療ポイント

  • 太陽:側頭部の急性痛に対応
  • 外関・足臨泣(奇経治療):胆経・三焦経の調整
  • 胆兪:胆経の経絡調整

群発頭痛には瘀血(おけつ)=血液の流れの滞りが関与しているケースが多く、以前は井穴刺絡(せいけつしらく)などの技法も使用していました。
現在では、瘀血処置に頼ることが多いです。

4. 気象病・天気痛型の頭痛

特徴:天気が悪くなる前や台風前に頭が重くなる・痛くなる
東洋医学的見立て:脾虚・湿邪・水分代謝の低下

主な治療ポイント

  • 陰陵泉・三陰交:脾と腎の水分代謝改善
  • 百会・風池:気の巡りを良くする
  • 中脘:内臓機能を高める

このタイプには、気圧変化に影響されない身体づくり=脾と腎の強化が効果的です。

診断のカギ:腹診と局所診

長野式の診察では、腹部と局所の反応点を使って、体のどの系統に異常があるかを把握します。

たとえば:

  • 中脘に圧痛 → 胃経/肝の関連
  • 下腹部の冷え → 腎虚
  • 背中の肩甲間部に圧痛 → 肺・心系統の失調

この診断を通して、頭痛の「原因部位」を特定し、個別に治療プランを立てます。
局所の圧痛に関しては、多くの場合、その場で変化が出るので「気」の存在が信じられなくても、体の変化に気づいていただきやすいです。

長野式ならではの工夫:奇経治療

奇経療法:外関+内関、申脈+照海などの組み合わせで、左右差やバランスを調整する治療。
他にもさまざまな奇経を使った組み合わせがあり、これも生活背景や血行を良くする処置とともに使用することで、より効果を増大させる目的があります。

頭痛を繰り返さないために

長野式鍼灸の目指すゴールは、「痛みを取る」ことにとどまらず、頭痛が起きない体質づくりです。

  • 自律神経を整える
  • 五臓のバランスを調える
  • 気血水の流れを良くする

筋肉に原因がある頭痛には、ストレッチや姿勢改善を。
同時に、栄養管理や嗜好品の使用頻度も改善します。
これらは「頭痛があるのが当たり前」という方たちには必須項目です。
頭痛の原因は必ずしも一つではないので、あらゆる方面(西洋医学も東洋医学も)の可能性を考慮して治療を行っていきます。
その結果として、自然治癒力が高まり、薬に頼らない身体になっていくのです。

まとめ

頭痛にはさまざまなタイプがあり、原因も多様です。
長野式鍼灸治療では、患者さん一人ひとりの体質と症状の背景に向き合い、最適なアプローチを選択していきます。

「薬に頼らず頭痛を根本から改善したい」
「再発を防ぎたい」
「体のバランスを整えたい」

そんな方は、ぜひ一度、鍼灸を試してみてはいかがでしょうか?
長野式鍼灸治療を吹田市で受けてみたいという方は、ぜひうやま鍼灸治療院にご相談ください。
阪急関大前駅から徒歩2分、土日祝も開院しております。

鍼灸治療全般については、鍼灸とはのページでもご紹介しております。
よろしければ、一度ご覧ください。

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この記事を書いた人

鵜山泰平

大阪府吹田市の、うやま鍼灸治療院院長。鍼灸整骨院・整形外科にて鍼灸師として従事し、2022年うやま鍼灸治療院を開業。東洋医学と西洋医学を合わせた施術で多くの患者様のニーズに応えている。

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