鍼灸とは?鍼灸治療の効果や適応症状を現役の鍼灸師が解説

著者鵜山泰平

最終更新日:2025-05-15

投稿日:2025-05-15

  • 鍼灸

この記事の目次

こんにちは。大阪府吹田市で鍼灸師をしている、うやま鍼灸治療院の院長の鵜山です。

皆様は鍼灸に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
鍼灸の歴史は古く、奈良時代に日本に伝えられました。鍼灸というと科学的には認められていないイメージでしたが、現在ではWHO(世界保健機関)にも認められている治療法の一つです。近年では、東洋医学と西洋医学を合わせた技術も広まっています。
この記事では、鍼灸治療の効果や適応症状、鍼灸にまつわるあれこれを現役の鍼灸師が解説していきます。

鍼灸とは

鍼灸とは、主に鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて、身体の痛みや不調を取り除き、自然治癒力を向上させて健康を促進する方法を指します。

鍼治療とは

鍼は細い針で人体の特定のツボ(経穴)に刺入することで、気の流れを整えたり、痛みを和らげたりする役割を果たします。

灸治療とは

灸は、もぐさという艾(ヨモギ)を燃やして、その熱をツボに照射することで、血行を促進し、身体の不調を改善します。

東洋医学における鍼灸の役割

鍼灸は気のバランスを整えることを目的としているため、体全体の調和を重視しています。
鍼灸は東洋医学の考え方に基づいており、人体は「気」「血」「津液」(き・けつ・しんえき)の三つの要素によって成り立っているとされています。これらの要素が正常に機能することで、健康な状態が保たれると考えられています。鍼灸は、これらの要素が不調をきたしている際に、そのバランスを戻す手助けを行います。

東洋医学と西洋医学を合わせた治療法も

西洋医学は、原因がはっきりと解明され、治療法が確立されている病気に対しては力を発揮します。
特に、命に関わる病気や大ケガの治療は最も優れている点といえます。
しかし、その反面、自律神経失調症や更年期障害、機能性不妊などのように、原因が明確になっていない病気や検査しても異常が見つからない症状に対しては、薬で症状を抑える対症療法が中心で効果的な治療は行えないといった特徴があります。
一方、東洋医学は「自然治癒力を高めて病気を治す」ということが基本なので、肩こりや腰痛だけではなく、薬だけでは改善しにくい自律神経系や心療内科系、産婦人科系、消化器系、免疫系など様々な病気の根本治療が行えるといった特徴があります。
もちろん、西洋医学的に原因不明とされる病気でも治療が可能です。
ただし、治療に少々時間がかかるため、一刻を争う救急救命は行えません。

鍼灸治療というと東洋医学一辺倒なイメージがあるかもしれませんが、最近は西洋医学と東洋医学のハイブリットで治療を行う鍼灸院も増えています。

その中でも当院では、上記の東洋医学と現代医学である西洋医学を合わせた「長野式」という治療法を取り入れています。
長野式治療は、東洋医学の古典理論と西洋医学の解剖生理学に根拠をおき、長野潔先生が永年の臨床現場で独自に研究や思索を重ね、延べ三十万症例に及ぶ臨床経験から創り上げた「即効性と再現性」のある独創的で実践的な鍼灸治療法です。
表面に現れた症状だけでなく、根本にある原因を探る独自の診断法を用いて、病名・症候名だけにとらわれず、その人そのもの(全人格的)にアプローチし、自己治癒力を妨げている阻害因子を取り除く、即効性と再現性を重視した治療法となっています。

鍼灸の効果や副作用

鍼灸の施術は、リラックス効果があるため、ストレスの緩和や心身のリフレッシュにも繋がるとされています。特に、慢性的な痛みや不調を抱える方にとって、鍼灸は重要な選択肢となることが多いです。
鍼灸において副作用はないものとされています。
ただし、鍼あたりが存在し、鍼治療後のだるさ、眠気、疲労感などが挙げられます。これは好転反応(体が回復に向かう過程で一時的に症状が悪化したように感じられる現象)の分類で、基本的には数時間から1日で落ち着きます。

鍼灸の広がりとエビデンス(科学的根拠)

ここまでのお話で、伝統医学のイメージが強い鍼灸ですが、世界に認められたのはごく最近になってからなのです。
東洋医学は西洋医学のように目に見える症状だけを相手取ることはしません。
不定愁訴と呼ばれる明確な病名や原因が特定できない、身体や精神的な不調を訴える症状についても対応しています。
つまり、何が言いたいかというと、ちょっぴことでりスピリチュアルなのです(笑)
ツボも見えるものではないし、人によって場所も少しずつ違います。
それでは、医療として体系化できない!ということで、WHO(世界保健機関)が動きます。
WHOは2003年から伝統医学の国際標準化プロジェクトを開始し、2008年に鍼灸治療で用いるツボの国際標準が定められました。 国際標準を決める上で必要なエビデンス(科学的根拠)は、これを機に急速に研究が進められています。

鍼灸における適応症状

エビデンスが獲得されると、鍼灸への理解と認知度は一層広まりました。
近年では、鍼灸は単なる痛みの治療だけでなく、日常生活の質を向上させるためにも利用されています。
例えば、睡眠の質を向上させたい、冷え性を改善したい、または免疫力を高めたいといった要望に応えることができます。
これにより、多くの人にとって鍼灸は健康管理の一環として支持されています。
ただ、上記の要望はかなり鍼灸を知ってくださった方に多く、やはり肩こりや腰痛など症状についてのものが多いです。
私たち鍼灸師が、鍼灸はこんなこともできるんだよ!とその魅力をたくさんの方々に知ってもらえるよう、頑張ってこの情報を広めていきます。
鍼灸で改善が期待できる症状の一例として以下のものがあります。

  • 肩こり
  • 腰痛
  • 自律神経失調症
  • アトピー・アレルギー症状
  • 不眠症
  • 花粉症
  • 眼精疲労
  • 疲れやすい
  • 倦怠感
  • 不定愁訴(原因のはっきりしない症状)など

あまり知られていない鍼灸の領域①不妊

健康になるという概念を広げると、近年では、不妊も鍼灸の治療範囲に含まれます。
不妊は晩婚化、出産年齢の高齢化などが関わっているとされていますが、鍼灸の認知度が広がるにつれて、その治療に鍼灸を選ばれる方も増えてきています。
鍼灸では(他の治療法もそうかもしれませんが)確実に妊娠できるような体になるわけではなく、可能性を高められるような体づくりをお手伝いしていきます。
当院ではさらに、食事や運動など、妊娠に関連する内容をなるべくお伝えしています。

あまり知られていない鍼灸の領域➁マタニティ(産前産後)

妊娠に関連してお話しすると、他にも、妊娠中の鍼灸治療への質問がよくあります。
妊婦さんへの禁忌とされる施術内容はありますが、それを除けばつわりや逆子など、妊娠中でも鍼灸治療は可能です。
また、産後のホルモンバランスの乱れや育児による体調不良へも鍼灸治療は適しています。
約1年半ほどの産後期間内は、女性の体質を大きく変えます。
そして、育児や家事で知らぬ間に負担をかけていることが多いです。
なるべく症状がなくても、メンテナンスをオススメします。
多くの女性が気にされている産後の骨盤の歪みに関しては、当院では産後の骨盤矯正を導入しています。

あまり知られていない鍼灸の領域➂小児鍼

産まれたお子様が、夜泣きやアトピー性皮膚炎などを含む勘虫になっても鍼灸治療は対応できます。
小児鍼といって、子どもを対象にした鍼灸治療法で、江戸時代から行われてきた伝統的な治療法です。
子どもの身体に鍼を刺すのではなく、専用の小児鍼を使い、皮膚をなでたり、優しく刺激したりすることで、体調を整える治療です。
痛みもなく、子どもたちが気持ち良く受けられるため、病院を怖がる子どもでも安心できます。
薬では副作用があったり、そもそも対応できない症状もあるので、勘虫に対応できることは、鍼灸の大きな特長といえるでしょう。

新時代の鍼灸 美容鍼灸

ここまでは、マイナスからゼロへ、体調を回復させるいわゆる治療をご紹介してきましたが、鍼灸にはゼロからプラスに向けて行う施術もあります。
それが美容鍼灸です。
最近では、モデルさんやインフルエンサーなどの若い世代から、しわやシミについて悩む世代まで、幅広く美容鍼灸を受けられる方が増えています。
男女比は、やはり女性が多いですが、以前と比べると男性の受診率もかなり増加傾向で、鍼灸の認知度を広めてくれたものの一つでもあります。
新しく鍼灸師を目指す方の中に、初めから美容鍼灸師になりたいと強く憧れる人を多く見られるような気がします。

鍼灸の資格について

先程、新しく鍼灸師を目指すというお話をしましたが、鍼灸の受療率や需要が上がるにつれて、鍼灸師になりたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
鍼灸師になるためには、はり師・きゅう師の2つの国家試験に合格する必要があります。
養成施設で、はり・きゅうの技能と知識を3年以上修学し、受験資格を取得する必要があります。
国家試験は同時に受験できるため、最短3年で鍼灸師になることが可能です。

訪問施術について

免許を取得すれば、独立開業や訪問での施術も行えます。
訪問施術をする際に、健康保険を使うのか否かで内容や条件が違うので注意しましょう。

保険適用について

鍼灸治療に健康保険を使うには、次のような特定の病気(適応疾患)に対する治療であることが条件です。
•神経痛(坐骨神経痛など)
•リウマチ •頚腕症候群(肩こりや手のしびれなど)
•五十肩
•腰痛症
•頚椎捻挫後遺症(むち打ちなど)
なお、保険適用にするには、かかりつけの医師に診察してもらい、「鍼灸治療が必要」と認められる同意書を書いてもらう必要があります。

まとめ

鍼灸は深い歴史と確かな理論に基づいた治療法であり、体調管理や美容、メンタルヘルスの分野で広く利用されていることがわかります。何を期待するかによって、施術の内容や効果も異なりますので、興味を持った方は一度鍼灸を体験してみると良いでしょう。


吹田市で鍼灸を受けてみたいという方は、是非うやま鍼灸治療院にご相談ください。
阪急関大前駅から徒歩2分、土日祝も開院しております。
当院では、痛みの治療や体質改善、産前産後ケアや美容など、あらゆる患者様のニーズにお応えできるように施術プログラムを組んでおります。
症状がたくさんあったり、これって鍼灸で対応できるの?と不安があったりする方も
まずは一度お問い合わせください。一緒に健康を目指しましょう!

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この記事を書いた人

鵜山泰平

大阪府吹田市の、うやま鍼灸治療院院長。鍼灸整骨院・整形外科にて鍼灸師として従事し、2022年うやま鍼灸治療院を開業。東洋医学と西洋医学を合わせた施術で多くの患者様のニーズに応えている。

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